今回の記事では、小学校・中学校に行けなくなったお子さんをどのようにフォローすれば良いのか、その原因や対策、選択肢を解説します。
私自身の経験
私自身が学校に行かない時期もありましたし、子どもが行かない時期もありましたので、いわゆる不登校やひきこもりという問題はかなり身近に感じています。
また、個別指導塾の教室長として、様々な生徒や保護者と面談を行ってきた経験してきました。小学生から高校生まで180名以上の生徒が在籍して、志望校目指してバリバリ勉強している生徒から、勉強が嫌い、学校が嫌い、実際に行っていない、そういう生徒まで指導してきました。
原因はバラバラだし、改善の必殺技はありません。個人的な体験に基づいた内容が多いのですが、必要な部分を参考にしてもらえると幸いです。
学校に行けなくなる原因
学校に行けなくなり、不登校、ひきこもりの状態になるのは、何か1個の問題が原因というよりは、積もり積もってそもそもの原因があやふやになったり、大人から見たら些細なことを子どもが大きく悩んでいる、そんなケースが多いと感じます。
勉強についていけない
学校の授業についていけないお子さんは
・勉強が嫌いなのか
・ある単元だけ不得意なのか
・学校の先生が教えるのが下手なのか
・学校の先生が嫌いなのか
・何かしら発達障害などを抱えているのか
きちんと分析をすることが大切です。無理に学習塾に通わせて、嫌いなことをさらに押し付けるようなことだけは避けていただきたいと思います。
「小さい頃は、勉強大好きだったのに…」
「昔から物覚えが悪くて…」
この2つは反対のことを指していますが、親御さんがフィルターをかけてお子さんを見ている点は共通です。しっかり先生とコミュニケーションを図り、専門家の意見を聞くようにしましょう。
学校の先生を悪く言いすぎると、お子さんは「先生の言うことは聞かなくていい」と判断したり、悪口を気にせず言ってしまうキャラクターになってしまうので、注意が必要です。
健康上の理由で行けない
冷静に考えると、週5回も学校に通うのは、なかなか大変なことだと思います。
これも専門家の判断が必要になりますが、休んだりしているうちに、友達関係が苦手になってしまったり、勉強についていけなくなってしまうのは避けたいところです。
表現が不適切かもしれませんが、不必要な不登校になるくらいなら、フリースクールなど、環境をガラッと変えながら勉強を進めることも選択肢としてあると思います。これは、安易にフリースクールを勧める意味ではないのですが
・学校ができる対応には限界がある
・校長や担任の考え方に大きく左右される
このあたりの背景を加味した私の考えです。
人間関係がうまくいかない
友達同士、または親子関係、何にしろ人間関係で悩んで学校生活に支障が出るのは、悪いスパイラルに陥ってしまいます。
このケースは本当に千差万別なので、改善提案みたいなことができないのですが、ひとつだけはっきり言えるのは「イジメがある」など劣悪な環境だったら、ムリに学校に行く必要はないと考えます。
「なぜイジメを受けている方が、逃げるように環境を変えなければならないのだ」
という意見には激しく同意します。しかしそれ以上に「逃げる」という選択肢を、お子さんにも教えることが重要です。これができないと、大人になってからも「我慢すればいい」という何にもならない頑張りに繋がり、心や身体を潰す原因になります。
学校(先生)とうまくいかない
これも難しいところです。
・先生だって人間だからいろいろある
・先生は、大人の代表として見本にならなければならない
この2つは相反する本質です。お子さんにしてみても、合う先生 or 合わない先生が必ずあると思いますし、親御さんですら内心は、合う先生 or 合わない先生があるはずです。
とにかくお子さんの意見を尊重して、親御さんはお子さんと先生のどちらの肩だけを持つのではなく、起きている事実を聞くことが必要です。その内容を整理して、校長や担任と相談するのが第一歩と考えます。
ではどうするのか?
ここからどうやって改善するのか、考えてみましょう。
学校側の対応例
ここは学校のやる気次第という、悲しい現実がありますので、あまり期待しないことが賢明です。やる気がないわけではないのですが、私の経験や知る限りでは、学校は学校でちゃんと対応しようとしても、提案できる選択肢が少ないのが現状です。
・別な教室を用意する
・別な時間帯で対応する
・リモートでも授業できるようにする
やれることはあるのですが、あまり問題解決にはならないケースが多いように思います。どうしても対処中心のスタンスになるのが残念なところです。
フリースクールの知識も少ないですし、保健室の先生やスクールカウンセラーも基本的には役に立ちません。決してスキルがないわけではないのですが
「相手の中にある答えを引き出す」
というカウンセリングとは、相当かけ離れた支援になります。小学生には無理でしょう。
家庭でできること
学校に行けない現状は、本当に精神的にキツイと思います。不登校やひきこもりになると、お子さんを放置して親は働きに出るか、または(主に母親が)仕事を辞めて収入減になるか、大きな選択も迫られます。
そのことがお子さんの精神的負担にもなり、どうしても負のスパイラルに入ります。
・何か具体的な一手を打つ
・学校に行くことがゴールではないと親子で決める
この2つのマインドが必要と考えます。
学校に行くことは重要なのか
学校に毎日通って、受験を経験して進路を決めて、それがお子さんの幸せに直結するわけではないことは、頭では誰だって理解していると思います。
「何十年前は、不登校なんてなかった」
という意見を聞くことがあります。
当時は不登校という選択肢がなかったので、大荒れのクラスであっても我慢して通っていたのでしょう。
「だから今の親世代は辛抱強いし、ちょっとやそっとじゃ折れないんだ」
という意見も聞くことがあります。
しかし、その世代が築き上げた日本という国は、
・大企業に入るのが安心
・公務員のような安定が欲しい
・チャレンジよりも同調
・自分の目よりも他人の目
・アイデンティティって何?
そんな失われた30年を経験しています。
多様性を認めて、1人1人が輝ける方法を考え、大勢の中で生きる処世術よりも「ひとりでも生きていけるスキル」が重要な時代です。
学校に通うことがゴールではないので、どういう大人を目指すのか、今は見えなくても今できる第一歩は何なのか、考えてもらいたいと思います。例えばお子さんが不登校みたいな状況になって悪化していくと、どんどん目の前が暗くなっていきます。ご家庭の雰囲気もギクシャクになるかもしれません。正解はないので、まずは小さな一歩を探してみましょう。
以下に、フリースクール5選を紹介しますが、フリースクールという選択肢が答えになるとは限りません。しかしながら、調べて出てくる不登校対策やフリースクール情報が、全然使えないものばかり(特に行政)で苦労したので、私なりにまとめてみました。
栃木県宇都宮市のフリースクール5選
栃木県宇都宮市にあります、フリースクール(支援学級含む)を紹介します。栃木県の中央部であれば通えると思いますし、電車・バスに1人で乗れるのであれば、もっと遠くても検討できるかもしれません。参考にしてみてください。
(2023年4月現在の情報です)
①とらいあんぐる
【住所】栃木県宇都宮市天神1-1-24
【対象】小学1年生~中学3年生
【曜日】月曜~金曜(午前のみ)
様々な理由で小学校・中学校に通うことができないお子さんの学校復帰を目指したり、適応支援教室(とらいあんぐる・まちかどの学校)への通学をサポートします。その他に、自閉症・情緒障害特別支援学級として(以下)2つの相談学級があります。
・簗瀬小学校相談学級
・旭中学校相談学級
学校復帰を目指す意味では、在籍する小学校・中学校との連携は強いのですが、定員に限りがあることと、最初の教育支援センターでのカウンセリングや現場体験など、ステップが多くて時間もかかります。
「今相談したくて、しかも常にたくさん相談したいご家庭があることがわかっているのに、なぜこんなに時間がかかるのか?」
ストレスが増えるので、個人的には活用しにくいと感じましたし、行政ってこんなもん…っていうあきらめの境地になります。タイミングよくスムーズにカウンセリングなどが進み、学校復帰が目に見えているのであれば、もっとも無難な選択肢になるでしょう。
②まちかどの学校
【住所】栃木県宇都宮市戸祭台46-1
【対象】小学1年生~中学3年生
【曜日】月曜~金曜(午前のみ)
こちらも教育支援センター経由の施設で、学校復帰の支援を受けます。
③夢作志学院(むさしがくいん)
夢作志学院フリースタディーコース - 夢作志学院(むさしがくいん)
【住所】栃木県宇都宮市不動前1-3-35
【対象】小学1年生~中学3年生
【曜日】火曜~金曜
1人1人に合わせた学習カリキュラムを提供しており、LD、ADHD、ASDなどの発達障害の診断を受けたお子さんの対応も可能です。
関東バス「不動前」からすぐなので、通学に関する不安も少ないと思います。ホームページで料金体系などの情報を明確に打ち出していますので、入学の検討を具体的に進めやすいのではないでしょうか。
④Dream Tree(ドリームツリー)
Dream Tree | 宇都宮市のフリースクール、不登校支援、学校
【住所】栃木県宇都宮市砥上町333-36
生徒1人1人の興味を引き出し、そこからの学びを大切にしたプログラムを提供しています。グループ全体で、子育て支援事業、こども園運営、保育施設運営を行っており、教育理念や理念ノウハウが蓄積されていることは強みでしょう。
度合いや適性にもよりますが、発達障害のお子さんも可能です。不登校やひきこもりなど、様々なケースに対応できますので、まずは面談を行うことで方向性を決めていきます。
⑤UICS
【住所】栃木県宇都宮市峰1-16-8
【対象】小学1年生~高校3年生
【曜日】月曜~金曜
峰町キリスト教会に併設されているフリースクールです。小学校・中学校が合わなかったお子さんだけでなく、海外から来たお子さんも一緒になって学校生活を送る点が、大きな特徴です。
ご家庭の宗教に関わらず、礼拝の時間や聖書を学ぶ時間があります。リラックスした雰囲気で、キリスト教の教えに基づいて学校生活を行いますので、道徳や倫理も含めた教養全般をぶれずに学ぶことができます。
(ウチの子どもが最終的に選び、本当に良かったと感じています)
関東バス「平松町」または「宇大前」から近いのでアクセスが良く、週5日でなくても通えるシステムなので、お子さんやご家庭の状況によって、通学を検討しやすいと思います。ホームページにて料金などのシステムを紹介しています。
(番外編)CCV学園
【住所】栃木県鹿沼市鳥居跡町1420-11
・貝島教室 栃木県鹿沼市貝島町472-2
・上殿教室 栃木県鹿沼市上殿町459-1(水・木・土)
【対象】小学1年生~高校3年生
宇都宮市にあるわけではないのですが、通える範囲としてCCV学園も紹介します。就労支援、自立訓練、介護支援など幅広い事業を行っていますが、その一環でフリースクールも運営しています。
(番外編)ニンジャパーク
ここについては、ちょっと寄り道みたいな方法になりますが、個人的には検討していただきたいサービスです。
室内アスレチックを専門にしているニンジャパークは、不登校対策などを考えているわけではないでしょうが、平日昼間から身体を動かすことができるので、こちらで汗をかいてみるのも良いと思います。
不登校やひきこもりになって、親御さんが心配するのは
・昼夜逆転したらどうしよう(または戻したい)
・少しは運動してほしい
こういった日々の生活リズの崩れだと思います。勉強自体に大きなハードルがあるのであれば、こういった施設を活用するのがおすすめです。入場さえしてしまえば、自由に遊べるので、少なくともリフレッシュになるのでは。栃木県内にないのが残念です。
(番外編)まなぶてらす
総合型のオンライン家庭教師です。本格的な受験対策だけでなく、不登校のお子さんにも対応できるよう平日昼間のオンライン授業も開設しています。
2020年に行われた「保護者が選ぶオンライン家庭教師No.1」に選出されています。
外に出ること自体がハードルになっていたり、勉強の遅れが気になるようでしたら、オンラインで学ぶのは1つの選択肢です。オンラインとはいえ、1人1人の事情に合わせたフォローを行い、外の大人と接することができるのは大きな魅力です。
習い事のプログラムも多数揃っているので、勉強ではなく興味のある分野から第一歩を踏み出すこともできます。勉強と習い事のミックスや単発受講など、幅広い対応力もありますので、まずは体験レッスンを受けてみましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。なるべく多くの選択肢が届いていれば良いのですが、少しでも参考になれば幸いです。
フリースクールはどうしても月謝が高く、場所も限られますので、選択するには懸念も多いと思います。多くの施設で見学や体験授業など相談できるので、お子さん本人が少しでも前向きになったタイミングで、最初の小さな一歩を検討してみてください。