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「どうしたら学校にまた行けるのか?」は意味のない質問?【不登校の原因と対策を考えてみる】

不登校の生徒(小学生・中学生・高校生)は増え続けて、直近では239,000人(※)いるそうです。個人的な見方ではありますが、これが解決しない、むしろ増えている一因は「学校側の考え方がまったく追いついていないから」と考えています。

(※)令和2年度「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」より、239,178人で過去最多、小中学生で見ても196,197人、全体の2%(小学生1%、中学生4%)と過去最高

不登校は特別なことではないし、例外でもない。まずは、これを前提にしなければならないでしょう。私見ではありますが、キャリアコンサルタントの視点でまとめてみたいと思います。あなたが不登校に対しての悩みを抱えていたり、第三者として問題解決に関心があるようでしたら、参考にしていただけると幸いです。

 

◆親目線の現状

下の図は、不登校になってしまった際の対応について表した図です。知っている範囲で作成しておりますので、周辺の環境とは異なる可能性もありますが、こんな感じではないでしょうか。

「親ができること」

「本人ができること」

「学校ができること」

をまとめています。友達のフォローがあったり、例えばいじめが原因だったりすると、もっと複雑になると思いますが、なるべくシンプルにまとめています。

ポイントは、学校に戻ることを前提にすると、時間がかかったり、問題がもつれたりすることです。もちろん、親的にも先生的にも、何もなかったかのように学校生活に戻ることがベストなシナリオかもしれませんが、これはレアケースでしょう。

「最初に行きづらいと感じたきっかけ(小学生)」を調べたアンケートでは

1位 先生のこと(29.7%)

2位 身体の不調(26.5%)

3位 生活リズムの乱れ(25.7%)

4位 わからない(25.5%)

このような結果(※同調査)です。原因を見ると、すぐに解決することができない内容ばかりと察することができます。小学校・中学校に毎日通学するという形式(フォーマット)が合わないのであれば、解決しないまま過ごすか、どうにか無理をするしかありません。

解決には想像以上に時間と労力、工夫が必要だろうな…というのは、そもそものアンケート回収率が、小学生本人11.7%、保護者12.4%という数字を見ると絶望的に明らかです。ここでは深く触れませんが、通知表が斜線で渡されるのもマイナス効果しかなく、溝をさらに掘って何がしたいんですか?という有様です。

現状について解像度を上げて、課題を整理したものが以下の図です。

カンタンに表現してしまうと、不登校の原因が様々で根深いものが多いを察することができるので、選択肢を最初から広げておくことが確実と考えます。つまり、不登校が発生してから、思い出したように先生と親が連携してコミュニケーションを図ったり、様子を見ながら対応しても、先生も振り回されるし、親の心配(不信感)も募るだけです。

スクールカウンセラーが登場したり、教育センターのような機関がありますが、そもそものアポイントが数週間レベルで先になるので、ストレスが溜まるだけですね。ここは想定ですが、残念ながら逆効果になることが多いのではないでしょうか。ストレスが溜まった状態でカウンセリングする側の苦労も察します。

 

少なくとも学校側で、いくつかの選択肢(解決に向けたシナリオ)を計画しておくことが必要ではないでしょうか。冒頭にも書きましたが、不登校は特別でも例外でもない、というスタンスが前提です。これは先生の発想では出てこないかもしれません。何といっても、学校が大好きで、きちんと通って、何かしらの想いを持って先生になっているでしょうから「学校に行きたくない」という生徒の気持ちとは溝があって当然です。これは文部科学省の職員も同様です。

タイトルに戻りますが「どうしたら学校にまた行けるのか?」と、学校に行くのが当たり前というスタンスの質問は、多くの場合で意味と考えています。むしろ行かない口実をどうにか考えることになりそうです。

 

◆親目線の要望

上の図は、こうしたら良いのではないか?というイメージです。まず「子どもができること」を削除して、親子のコミュニケーションの中で、できること・できないことを把握する表現にしています。

学校が原因で学校に行かないケースが最多であることから、そもそも学校以外の選択肢を最初に計画して、体制作り、他機関との連携を進めておくべきでしょう。

・居場所を作ってあげる

・安心できる環境を準備する

・少しでも、何かに対して自信を持たせる

このようなステップを踏めるようになるといいですね。

 

◆ひきこもりに関する大規模調査

参考データとして、以下も紹介します。ニュースでもある程度大きく取り上げられましたが、東京都江戸川区の「令和3年度ひきこもり実態調査」の結果です。直接訪問を含めて57%の回収率ですから、文部科学省より誠意を感じる調査です。

・ひきこもりのボリュームゾーンは40代

・区民の76人に1人がひきこもり

ということがクローズアップされましたが、ここでは解決策にテーマを絞ります。

「ひきこもり当事者が求めているもの」

1位 何もない、今のままでいい(32%)

2位 就労に向けた準備、働き場所の紹介(21%)

3位 短時間でも働ける職場(18%)

4位 専門機関への相談(16%)

大人も含めた複数回答なので、単純比較はできませんが、1位以外は68%もあることを考えると、何かしらアクションをするきっかけや居場所があれば、かなり前進しそうなことがわかります。

・頑張る場所を変える

・良い仲間(支援者)を見つける

これだけで解決策になりそうです。「頑張らなくてもいいようにする」という考え方もありますが、これは完全に個別対応だと思います。そのタイミングで自信をつけさせる必要があるかどうか、見極めが必要でしょう。理想的な流れとして「自信をつけて、自分を大切にする」この順番になると思います。

 

私なりに小学校との関わり、その他の機会を通じて、より良い義務教育現場になるように、微力ながら動いています。「義務教育って何?」とか、そもそもの話まで戻ってしまいそうですが、ゴールイメージは以下のように考えます。

・1人1人の生徒が自分を知り、自信を持って

・義務教育と社会を分ける壁は極力排除して

・早く大人になって、社会に出たくなる教育

義務教育については、多くの人が経験しているからこそ、思うところもバラバラだと思いますが、これからの日本を支える仕組みですから、大人も1人1人が考え直して提案していくことが大切ではないでしょうか。私自身も、自分なりの答えを探していきます。

参考にしていただけると幸いです。