強烈なコンセプトアルバムに続く、マンウィズの4th【The World’s On Fire】について、私なりに全曲紹介したいと思います。アメリカ系のアーティストを迎え入れた作品は、やっぱり壮大でワイルド、スケールの大きさを感じます。他のアルバムと同様、1曲1曲の個性がすごいですね。
それでは【The World’s On Fire】私なりに解説してみます。
①Survivor
作詞 Kamikaze Boy / Jean-ken Johnny
作曲 Kamikaze Boy / Todd Morse / Kemble Walters
2016年発売の「ストリートファイターⅤ」のテーマソングとして起用されました。直訳すると「生き残ってやる」と繰り返す歌詞が、ゲームの世界観にピッタリです。いかにもテーマソングらしく、重厚かつメロディアスなサウンドが気分を盛り上げます。Tokyo Tanaka の伸びやかな声と、その裏で流れる激しいビートの対比が最高に気持ちいいですね。
作曲に名を連ねる Todd Morse(トッド モース)は、ハードロックバンド H2O などで活躍したアメリカのギタリストで、様々なミュージシャンと共演しています。Kemble Walters(ケンブル ウォルターズ)は AEGES でボーカルやギターを担当するフロントマンです。
②Waiting for the Moment
作詞 Jean-ken Johnny
作曲 Jean-ken Johnny
印象的なサビがカッコいい曲です。じっくり聴かせる大人のロックですが、①~②の流れでこのアルバムの序盤を固めていることが、余裕を感じますし、このアルバムの世界観を演出していると思います。ファンの評価はいろいろ分かれるようですが、④Raise your flag とか⑫Out of Control などで先制パンチを打たないところを、他のアルバムと比べてどう感じるか次第でしょう。
正直なところ、最初に聴いた時は「ふーん…」くらいの曲でしたが、2回目、3回目となるにつれて中毒性が高まってくる、違法スルメみたいな曲です。
③Dive
作詞 Jean-ken Johnny
作曲 Jean-ken Johnny
いかにもダイブしそうなメロディを背景に「己の意味を探して」と歌う歌詞は④Raise your flag に繋がっていると解釈しています。タイアップが似合うポップな曲調ですね。
MAN WITH A BEST MISSION では後半に配置されていますが、このあたりの位置の方がしっくり収まっていると感じます。
④Raise your flag
作詞 Kamikaze Boy / Jean-ken Johnny
作曲 Kamikaze Boy
直訳すると「オマエの旗を掲げろ」という意味でしょうが、もうちょっと荒々しい、動脈の臭いがするような表現がフィットしそうです。オープニングからサビまで前のめりなリズムで攻めてくる、どう控えめに演奏してもライブで爆発する1曲でしょう。
⑤followers
作詞 Jean-ken Johnny
作曲 Jean-ken Johnny
中盤になり Jean-ken Johnny(ジャンケンジョニー)による、いかにも耳に優しいロックチューンで落ち着きます。初期のアルバムに入っていてもおかしくないくらい、前傾姿勢で演奏しているシーンが想像できます。「星になるのさ いつの日か」とあっさり歌い上げる、結構刹那的な歌詞ですね。
⑥The World's On Fire
作詞 Jean-ken Johnny / Shaun Lopez
作曲 Jean-ken Johnny / Todd Morse / Kemble Walters
作曲ではなく作詞に Shaun Lopez(ショーン ロペス)を迎えているところが面白いですね。Far というバンドのギタリストとして活躍しており、今回のアルバムでは Don Gilmore(ドン ギルモア)と共にプロデューサーとして関わっています。
ミディアムテンポのドラマチックな展開で、アルバム全体の印象を決めている曲ですね。1発目で聴いた時には、いまいちピンとこなかったのですが、アルバムを通しで聴くうちにハマってきます。
➆Give it Away
作詞 Jean-ken Johnny
作曲 Jean-ken Johnny / Todd Morse / Kemble Walters
作詞作曲が同じ組み合わせでも、直前の⑥The World's On Fire とはガラッと変わります。ギターとベースが暴れ回って、味付け次第ではハードロックにもメタルにもなりそうですね。「この3人なら、どんな曲でも作れそうでしょ?」と言わんばかりです。終わり方がバサッとしていて、次の曲へ落ちていく感覚です。
⑧Seven Deadly Sins
作詞 Kamikaze Boy / Jean-ken Johnny
作曲 Kamikaze Boy
マンウィズには珍しく、サビからはじまる曲です。タイアップが似合いそうな(実際そうですが)力強い重厚ロックで「他にこれ歌える日本人アーティストっている?」って思っちゃいそうですが、究極の生命体にとっては、誰がどこの国籍とか不毛な視点ですね。
⑨Mirror Mirror
作詞 Jean-ken Johnny
作曲 Jean-ken Johnny / Shaun Lopez
直訳すると「鏡よ、鏡…」ってなりそうですが、自分に向かって叫ぶようなヘビーな歌詞と横揺れ系ビートです。個人的には純度100%の洋楽ですね。You って呼んでいる相手は鏡に映る自分かな?マンウィズの数あるアルバムでも【The World’s On Fire】でなければ、居場所がない歌な気がします。
⑩Memories
作詞 Kamikaze Boy / Jean-ken Johnny
作曲 Kamikaze Boy
私自身が転職する前後で、ヘビーローテーションで聴いていました。そんなわけで、思い入れが深すぎる1曲ですが、雪、別れ、出発、決意、希望、たくさんのキーワードが詰め込まれたバケモノソングです。
個人的にはBメロのテンポに合わせて、Jean-ken Johnny と Tokyo Tanaka で歌い分けているシーンが最高すぎます。アルバムの中では異色を放っていますが「嗚呼、ツインボーカルって強烈だな…」それしか言えません。
⑪Far
作詞 Jean-ken Johnny
作曲 Jean-ken Johnny / Shaun Lopez
特徴的な曲が多いマンウィズでも、かなりチャレンジングな1曲だと感じています。素人ながら、セッションしているうちにマジメに仕上がってしまった曲っていうイメージでしょうか。前の⑩Memories で胸熱になってしまったところを、パーカッションとブルースな雰囲気でクールダウンしてくれます。
⑫Out of Control
作詞 MAN WITH A MISSION×Zebrahead
作曲 MAN WITH A MISSION×Zebrahead
このアルバムでは唯一の、アクセル全開のハイスピードチューンです。1996年カリフォルニア州にて結成された Zebrahead(ゼブラヘッド)は、日本の音楽フェスにも何度も出演している人気ロックバンドです。ラップも含めたツインボーカル、ホントに同じバンド?っていう音楽性の広さなど、マンウィズとの共通点が多いのでしょうが、ギターやボーカルがメンバーチェンジしながらも、これだけ長く活躍できるバンドってなかなか存在しないんじゃないかな?
とにかく、オオカミとシマウマのコラボ、1つのマイクを何人ものボーカルで奪い合っているような激しい応酬は必聴です。
⑬ワンダーランド
作詞 Jean-ken Johnny
作曲 Jean-ken Johnny
コラボやタイアップばかりの曲が並びますが、最後にしっとりとクロージングしてくれます。ワンダーランドのことを歌っているのですが、アルバムから現実の世界に引き戻すような、不思議な感覚の曲ですね。安心して「あぁ、もう寝よ」と電気を消せます。
いかがでしょうか。
MAN WITH A MISSIONの4thアルバム【The World’s On Fire】を「勝手に」全曲解説させていただきました。キャッチーな曲は少ないですが、洋楽カラーが強くて、ギターが前面に押し出され、スピード感よりはメロディ重視って印象で、このアルバムが大好きっていうファンも多いんじゃないかな。
①Survivor
④Raise your flag
⑩Memories
お気に入りリストにセレクトしたい曲は、この3曲です。このアルバムの中だからこそ光るっていう曲も多いので悩みますね。中盤の重厚なメロディは捨てがたく、選ぶたびに中身が変わりそうです。
参考にしていただけると幸いです。